与えてはいけないもの
2010年8月20日
「犬・猫に与えてはいけないものは？」という質問がよくあります。
私達人間には大丈夫であっても、ペットにとっては危険となるものが幾つかあります。
よく知られた代表的なものはネギ類で、成分のアリルプロピルジスルファイドが赤血球を破壊することにより貧血を引き起こします。ネギ類のように認識度の高いものは、飼い主さんの注意のもと摂取してしまうことは少ないようですが、怖いのは、認識度の低いものによる中毒です。まさかこんなものが中毒を引き起こすとは思いもせず、おやつ代わりに与えてしまった結果、中毒発生というケースが少なくありません。
チョコレート中毒は、当院でも度々遭遇する中毒の一つです。
チョコレートに含まれるテオブロミンが原因となります。主に心筋と中枢神経を刺激し、最悪の場合、不整脈か呼吸不全で死に至ります。解毒剤はなく、人間と違い犬猫の場合では排泄が著しく遅い成分である為、積極的な支持療法が必要とされます。
ブドウ、レーズンによる中毒は、最近認識されてきた中毒です。ブドウ中のどの成分が悪さを引き起こすのかは現在のところ不明とされています。腎臓が壊死するタイプの腎不全を引き起こし、発症すると助けることは非常に難しいものとなります。今が旬のブドウですので、くれぐれもご注意ください。
キシリトール中毒は、低血糖や低カリウム血症を引き起こし、肝不全をおこすこともあります。現在では、ペットのキシリトール入りデンタルケア製品でも極力含有量の少ないものが殆どとなりました。
その他にも与えてはいけない食品は、いろいろとあります。また、植物や薬品でも危険なものが幾つかあります。機会があればかかりつけの獣医さんに確認しておくと良いでしょう。中毒の発生状況では、目を放した隙に・・・というケースが多く見られます。食べ物はペットが届かない場所で管理・保管するよう心掛けましょう。
その他、中毒ではありませんが、目を放した隙に・・・で夏場に圧倒的に多いのが犬の竹串の丸呑みです。焼き鳥、たこ焼き、串焼きなど、おいしそうな香りに誘われ、犬は竹串ごと丸呑みしてしまいます。ある会社のアンケートでもペットの異物誤飲の第1位は竹串です。竹串丸呑みは、消化管穿孔～腹膜炎を引き起こすので速やかな対処が必要になります。当院でも夏場になると多くみられ、先日も開腹手術になってしまった子がいます。
また、竹串は夏祭り会場でゴミの拾い食いとして丸呑みしてしまうケースもあるので、お祭り会場にペットを同伴させる場合はくれぐれもご注意ください。
