心疾患について
2009年7月2日
犬の心疾患は日常的に多くみられます。先天的なもの、加齢に伴うもの、血統的な素因のもの、様々な要因で見られます。マルチーズ、キャバリア、トイプードル、シーズー、ダックスフンドなどの小型犬は弁膜症の好発犬種です。コッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、ラブラドルレトリバー、シェパード、ボクサー、ドーベルマンなどは心筋症の好発犬種です。発咳や運動不耐性、更には失神発作などの症状発現により初めて異変に気が付かれるケースが多いのですが、たとえ無症状であっても健康診断で異常が見つかるケースは少なくありません。定期的に健康診断を受けておく事は早期発見の為にも極めて有効です。中でも上記のような犬種の場合には特に推奨されます。心疾患の場合、来院時には緊急を要する場合が少なくありませんので、発咳などの症状が見られたら早めに受診しましょう。聴診をもとにレントゲン、超音波、更に今日では血液検査でも心疾患の診断・鑑別・重症度が把握出来るようになりました。
一方、猫の心疾患には、肥大型・拡張型・拘束型の3つの型があります。
原因は不明とされていますが、メインクーン、アメリカンショートヘア、ペルシャ猫は遺伝的な素因もあるといわれています。肥大型が圧倒的に多く、心臓の筋肉が内側に向かって肥大していく状況のものをいいます。拡張型に関しては、その原因はタウリン欠乏であり、良質なキャットフードが普及している現在では発生は減少しつつあります。
猫の心筋症の症状は、発咳、呼吸困難、更には肺水腫。又、心臓内に血栓(血の塊)が出来た場合、その血栓が後ろ足の血管に詰まるとその足の冷感・麻痺が起こります。何の前触れもなく、突然死するケースもあります。これら猫の心筋症は、早急な治療を要します。しかし残念なことに予後はあまり良いとは言えません。
写真は先日、心疾患から肺水腫を併発し呼吸困難に陥ったダックスフンドの治療の様子です。一般的な治療の他に高濃度酸素吸入療法及び温度と湿度を設定したICU内で状態の改善を図ります。この後、無事元気に退院となり現在投薬でコントロールしています。
さて、早くも7月、ジリジリとした暑い日が多くなり今年の後半がスタートしました。
つい先日、診療が終わってから、車で15分程の場所に子供と蛍を見に行きました。
半信半疑で行ってみたのですが、非常に綺麗な幻想的な光景に感動してしまいました。
暗がりの中、田んぼの用水路に流れるさらさらとした水の音、BGMはアマガエルの鳴き声、目の前には神秘的な光の動線を描く蛍達。小さな訪問者を歓迎してくれているのか、子供の目前の葉に止まり点滅する様子をじっくり披露してくれる蛍達。その寿命はわずか10日前後だそうです。限られた時間を限られた自然環境の中で懸命に生きているその姿・・・。
少し切ない気持ちとなった初夏の夜でした。自然破壊が社会問題になっている今日ですが、自然が大好きな私と子供達、いつまでもこの環境を大切にしていきたい次第です。