皮膚疾患について
2009年4月28日
季節は春。木々は新緑に染まり、蝶がひらひらと飛び、実に過ごしやすい季節です。
早いもので、時には初夏を思わせる気温の日さえあります。
暦の上でも、5月2日あたりは夏も近づく八十八夜♪となります。そろそろ夏に向けての準備をしましょうという意味合いがあるようです。
そんなこれからの時期に急増するのが皮膚疾患です。ひとまとめに皮膚疾患といっても様々なものがあります。感染性、寄生虫性、アレルギー性、免疫介在性、内分泌関連性、炎症性や腫瘍性、耳に関するものなど多種多様です。単一の原因によるものもあれば幾つかの原因が絡み合ったものもあります。犬種によって発症しやすいものもあります。
治療においてまず大切なことは原因の特定となります。臨床所見や病歴、各種検査により診断を進めていきます。ノミやダニなどの外部寄生虫によるようなものであれば簡単に診断がつくのですが、アレルギー性、免疫介在性、内分泌関連性などの場合は確定診断や除外診断の為、幾つかの検査が必要となります。その結果に応じて治療法や治療期間も変わっていくことになります。例えばアレルギー検査の場合、原因の排除により、速やかに改善するものもあればコントロールが生涯に及ぶものもあります。また内分泌関連の場合には皮膚以外にも全身的に深刻な影響を及ぼしているものも多く見られます。
残念なことに、中には効果的な治療・管理が困難な難治性の皮膚疾患も存在します。
これら皮膚疾患の治療においては飼い主さんとのコミュニケーションが不可欠なものとなり、充分な説明と同意のもとに診療にあたる必要があるといえます。皮膚疾患の場合、時間をかけた根気のいる治療・管理が必要となるケースが多いからです。
尚、高温多湿となるこれからの時期、ノミ・ダニ予防や定期的なシャンプーなどの基本的なスキンケアは非常に大切なものとなります。
痒み、赤み、脱毛や薄毛などの症状がみられたら、来院時にお気軽にご相談ください。
写真は簡単な院内検査で使用する機器の一部です。
【ウッド灯】 真菌の診断に使用する簡易的な機器です。 |
【インキュベーター】 病原を培地で培養してみるときなどに使用します。 |