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コラム

ペットの口の中 ~口腔内検診の勧め~

2010年3月15日

犬や猫にも様々な口腔内疾患が存在します。
犬では歯石沈着やそれに伴う歯周病、乳歯の残存、口腔内腫瘍などが多く見られます。
猫では歯肉口内炎、破歯細胞性吸収病巣(歯質の破壊)が多く見られます。
これら口腔内疾患は、その発生場所が普段目に入らない箇所である故に発見が遅れがちとなります。口臭や涎、出血、食べる様子がいつもと違う、腫脹してきた、そんな主訴で来院され、診察時に初めて口を開けたところ思いもよらぬ病変が見つかるケースが少なくありません。また、病院での予防歯科処置として歯石の除去は日常的に多く行われている処置なのですが、処置時に偶発的に病変が見つかるケースも多くあります。
幼少期から容易に口の中を観察させるコミュニケーション作りは、口腔内疾患の早期発見とブラッシングなどの家庭でのデンタルケアを実施するうえでも有効なものとなります。

【写真1】
写真1:犬同士の喧嘩による舌の裂傷
【写真2】
写真2:悪性メラノーマ
【写真3】
写真3:歯肉腫(エプーリス)

最近見られた口腔内病変の一例です。

写真1は、犬同士の喧嘩による舌の裂傷です。
口の中の観察を嫌がる為、来院時に鎮静下で初めて状態が明らかになりました。

写真2は、犬の咽頭部に発生した悪性メラノーマです。
主訴は、流涎、食べることが遅くなった、時々噎せる、でした。
外科的に切除することが対応策となりますが、転移率の高い腫瘍な為に、厳重な経過観察が必要となります。

写真3は、歯肉腫(エプーリス)です。
歯石除去の依頼時に偶発的に発見となりました。
犬では3タイプの歯肉腫がありますが、写真は線維腫性と骨化性のものであり、非侵襲性病変で良性と類のものでした。
病巣は歯肉ラインのレベルで単に切除するだけで治ります。

その他にも、様々な口腔内疾患がありふれて存在します。
普段見逃しがちな場所だけに、時々口腔内検診を受けることをお勧めします。
もうすぐ春の到来、新年度のスタートです。春の健康診断時に口の奥まで覗いてみるのも如何でしょうか?

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